コラム

2013/10/22

量と質との棲み分けを(茨城・HN)

量と質との棲み分けを


▼アップル社創設者の1人、スティーブ・ジョブズ氏は「大事なのは量より質。2塁打2本より、1

本のホームランの方がずっといい」と語った。一方、日本の有名プログラマー小飼弾<こがいだん>氏

は「アウトプットは質より量。量が伴わずに、質が向上するわけがない」と言う。


▼相反する2人の言葉だが、どちらも説得力がある。一つだけを選べと言われると、悩むところだ。

だが、この2つのうち、質より量を優先することによって、被害を被っている人たちがいる。


▼先だって開かれた関東地方整備局、県土木部、県建設業協会の3者による意見交換会。協会側は、

施工する際の設計図書がずさんなことから「県並みに設計図書のレベルを上げてもらいたい」と関東

地方整備局へ注文を付けた。当局もその現実を認識していないわけではない。後日の取材で、担当課

長が出先事務所に指示して、コンサル業務の品質確保に努める考えを示した。


▼ただ、昨今は緊急経済対策により前年度からの大型補正予算が早期執行されている状況。複数現場

の工期を間に合わせるため、たとえ概略設計の段階でも、相当量の発注をせざるを得ないという。し

かし、曖昧な設計で被害を被るのは受注者だ。内部で設計をやり直し、追加で発生する設計費や工事

費を泣き寝入りするケースもあると聞く。


▼先日、アップル社から発売された新型iPhoneでは、上位機種の「5S」と廉価版の「5C」

の2つに分け、質と量の棲み分けを図った。工事発注もまた然りである。早期発注さえすれば良いと

いうものでもない。市場には、質と量のベストミックスが求められている。(茨城・HN)


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