コラム

2013/10/25

善意の倍返しを(茨城・KS)

善意の倍返しを


▼?人が投げかけたものは、何倍にもなって返ってくる―?。インドのサンスクリット語で「カルマ

(業)の法則」という。日本の四字熟語に当てると「因果応報」である。


▼?やられたらやり返す。倍返しだ!?。今夏大ヒットとなったテレビドラマ「半沢直樹」。前記の

フレーズを言い放ち、不正を働く上司に敢然と立ち向かう勇ましさは、ありえないからこそ痛快だ。

かつて同テレビ局で放送されていた「水戸黄門」に通ずる正義をも感じる。しかし回を重ねるにつれ、

復讐に燃え狂気に満ちていく主人公の姿には戦慄が走った。


▼ちょうど時を同じくして、マンガ雑誌を出版する「秋田書店」で読者プレゼントの水増し問題が発

覚。プレゼント担当だった20代の女性社員は、読者を騙していることに耐えられず適応障害となり、

その休養中に解雇通知された。理由は「プレゼントの着服」というから驚きである。まさに半沢氏の

ように倍返ししたい気持ちだろう。


▼だがやっぱり倍返しは、憎しみ溢れる仕返しではなく、善意あるお返しがいい。東日本大震災の翌

日、タイのスラム街「クロントイ・スラム」の住人らが募金活動を始め、約40万バーツ(当時約11

0万円)も寄付していただいた。そして昨年10月、この善意に感動した一人の東京都の会社顧問男性

が、退職金で?10倍返し?となる400万バーツを同スラムに寄付。図書館の改修に充てられるとい

う。


▼?天網恢恢<てんもうかいかい>疎にして漏らさず?。復讐は人がすることではなく、天がすること。

復讐の倍返しはテレビの中だけにとどめておいて、我々は善行を投げかけ、善行のみお返ししよう。

(茨城・KS)


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