コラム

2013/11/12

「なるほど」に学べ(群馬・AN)

「なるほど」に学べ


▼群馬県内で塗装業を営む企業のボランティア活動を取材した。社長は若く企業規模は小さいが、ぶ

れない経営方針や技術力を前面に出した事業展開で売り上げを着実に伸ばしている。活動の中身は、

グループホームなどの建物を無償で塗装すること。社会貢献と社員教育の両面を実施目的としている

社長に話を聞くと、確かに「なるほど」と感心させられる点が多かった。


▼その足で、東京駅丸の内駅舎保存・復原工事に携わった共同企業体の元副所長を招いた群馬県建設

業協会主催の講演会を取材した。東京スカイツリーの建設と並ぶ歴史的事業の実施記録を見聞きし、

職人の技術と熱意、完成までに要した苦労には驚嘆させられた。


▼丸の内駅舎工事は保存・復原と免震化がメーン。保存・復原では創建当時の仕様・工法に努め、免

震化は駅を利用しながら地下へ躯体を構築するという日本最大規模の免震レトロフィット工事だった。


▼設計者は、明治・大正期の代表的建築家の辰野金吾。西洋建築の技法を取り入れながらも、日本の

心を忘れないよう十二支のレリーフや天下統一を果たした豊臣秀吉のかぶとを模したキーストーンな

どが再現され、創建時の技術と現代技術が融合した素晴らしい姿に仕上がっている。


▼再現にあたっては、腕利きの職人が試行錯誤を重ね、本施工に臨むなど一筋縄ではいかないことも

多々あり、また葛藤する職人同士のぶつかり合いもあったという。職人の知恵と技術、学ぼうとする

姿勢で完成した丸の内駅舎工事。スケールは違えども、ボランティア活動にも共通点は多くある。そ

れは「なるほど」に学べということだろうか。(群馬・AN)


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