2013/11/13
人間とヤギとの競争(東京・JI)
人間とヤギとの競争
▼近所の小さな動物園では、ウサギやモルモットなどさまざまな小動物に触れてエサを与えることが
できる。ヤギにエサをあげる場合は割り箸を使用するのだが、3歳の娘はエサを持つ手をそのまま差
し出したため、ヤギに指を噛まれてしまった。ケガはなかったが、びっくりした娘は体がしばらく硬
直していた。
▼UR都市機構が、ヤギを活用した除草の実験を東京都町田市内のUR賃貸住宅で開始した。ヤギ4
頭を放牧し、11月末まで道路用地の除草実験を行う。緑地や管理用地の雑草を食べてもらうことで、
草刈機使用や刈草廃棄処分に伴うCO2排出量削減が可能になるという。URはヤギ活用の効率や効
果、居住者へのアニマルセラピー効果、近隣コミュニティ活性化などを検証する考えだ。
▼同様の手法は他社でも行われている。西武鉄道の線路脇社用地では4頭が、インターネット通販ア
マゾンジャパンの物流センターでは10頭が、また岐阜県美濃加茂市の広場では40頭が除草に活躍して
いる。
▼2012年度には、除草作業用のヤギをレンタルする福岡県の建設会社が『グッドデザイン賞』を
受賞した。審査員も「発想の斬新さや事業化する実行力、なによりも分かりやすいエコに審査員一同
高い評価をした」と賛辞を贈っている。
▼ヤギによる除草を始めたURは、全国で管理する賃貸住宅や販売用地、事業用地における導入も視
野に入れている。この手法が普及すれば人手不足の解消につながることになるが、一方で、これまで
除草業務を委託されていた業者は、ヤギに仕事を奪われることになる。人間とヤギとの競争は、まだ
始まったばかりだ。(東京・JI)