2013/11/21
苦境をどう乗り切るか(東京・HM)
苦境をどう乗り切るか
▼食材の虚偽表示騒動が止まらない。次から次へと発覚して、どこが虚偽表示をしていたのか覚えき
れないぐらいだ。謝罪会見で繰り返されるのは、「誤認識だった」「うっかりしていた」など、あく
までもだますつもりはなかったの一点張り。詐欺罪などに問われることを避けたいのだろうが、ひど
い言い訳だと思う。
▼本来、楽しいはずの食事の場でこういうニュースが出てくるのは残念でならない。今回名前の挙が
ったホテルで結婚式を挙げた人もいるだろう。両親にご馳走したという人もいるかもしれない。そう
いう思い出をすべて踏みにじった形だ。
▼今回の騒動、世間の印象は「食品業界はひどい」というものではないか。もちろん、まじめにやっ
ていたところもあったのだろうが、こういう時は業界が同一視される。建設業界も「公共工事悪玉
論」以来、悪いイメージがついた。まじめにやっていた企業も、不良不適格業者と言われる企業もひ
とくくりで見られる。
▼建設業界は現在、若手の入職者確保に向けて、いかに広報を戦略的に行うかに取り組んでいる。過
去のイメージを払拭するというよりは、本当の姿をいかに伝えるかに主眼を置いている。ものづくり
の楽しさ、やりがい。まずは知ってほしいというのが業界の願いであろう。
▼食品業界は今回の騒動で、決定的に染み付いてしまった悪いイメージをどう払拭するのか。業界挙
げての自発的な取り組みが求められてくるだろう。まったくの畑違いだが、ある種外向きの働きかけ
は上手な業界。どのような対策を立てるのか。建設業界としても動向を見守ってみる価値はありそう
だ。(東京・HM)