コラム

2013/12/17

種はやがて芽吹く(茨城・HN)

種はやがて芽吹く


▼ことしの茨城県技能者表彰23人の中に、かすみがうら市で建築大工を営む白井喜義さんの姿があっ

た。伝統的民家建築のみならず文化財や社寺建造物の修理、復元の技能が評価された。手に職を持つ

人は、やはり尊敬に値すると取材先で感じた。だが、建築大工の数は年々減少傾向にあるようで、建

設業にあっても同様の傾向が見られる


▼ここ20年で建設投資額が46%減少する中、建設業への若手入職者は19%減少した。新規学卒者も1

998年と比べ約半分という状況だ。その一方で、全体の18%強を占める60才以上の技能労働者が10

年後にはほとんど引退し、空洞化してしまう状況が懸念されている


▼若手入職者の確保が課題というわけだが、何も悲観的になる話ばかりでもない。茨城では、重機や

各建設関連業界による出展で、建設業の素晴らしさを伝えている「建設フェスタ」が毎年10月ごろ開

かれている。記念すべき20回目を成功させた実行委員長の梅原基弘氏は、以前、こんな話をしていた


▼梅原氏が社長を務める梅原工務店に、中学生が職場体験に来た時のこと。体験先を同社にした理由

について、その中学生はこう答えたという。「小学生の時に行った建設フェスタで建設業に興味を持っ

た。だから体験先も建設業に選んだ」のだと


▼冒頭に取り上げた建築大工の白井さんも、3年前から後継者の育成や若手技能士の研修のため取り

組んでいるという。また最近、震災を契機に大学土木系学科への入学志願者も増えているという嬉し

いニュースが聞かれるようになった。建設業の未来を担う種は、やがてしっかりと芽吹いていくに違

いない。(茨城・HN)


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