コラム

2014/01/31

健全な情熱が技術の発展に(群馬・UT)

健全な情熱が技術の発展に


▼昨年の春に行われた将棋ソフト対プロ棋士の大会 「電王戦」で惜敗した船江恒平五段が大晦日に

そのときの対戦ソフトである「ツツカナ」にリベンジマッチを挑み、見事に勝利を収めた


▼電王戦時は185手という長丁場の中、何度も形勢が入れ替わるまさにシーソーゲームだった。最

後は船江五段が体力と時間を削られてしまったところをソフトらしい、淡々とした駒はこびで借敗し

ている。リベンジマッチではソフト側は前回と同じ条件で勝負を行い、研究を重ねた船江五段は序盤

を前回の棋譜とほぼ同様に進め、中盤で「ツツカナ」が強攻してきたところを凌ぎ切り、前回から1

00手減らした85手で勝利した


▼激戦であったが何よりも印象的であったのが船江五段と「ツツカナ」のプログラマーである一丸貴

則氏がお互いに楽しかったと感想を述べ、ライバルとして切磋琢磨している点だ。これまでは終盤の

詰め、という場面では総当たりでミスをせず淡々と処理していくソフトが優位、盤面が複雑になる中

盤では棋士の側に優位と言われていたが、そこをお互いに崩すための戦略を練っているように見えた


▼電王戦は回を重ねるごとに棋士側は対ソフトに対する戦略を、ソフト側はそれをかわす手段をそれ

ぞれの威信をかけて、複雑に編み出していくだろう


▼すでに人間の勝利が難しくなっているチェスでは、新たな技術が出現するなど競技の発展が進んで

いる。周りを見渡せば社会には多くのライバルともいうべき関係が見受けられる。船江五段と一丸氏

のようにお互いを見据え、健全な情熱があってこそ技術の進歩があるだろう。(群馬・UT)


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