コラム

2014/01/16

キャプテンの勇姿(茨城・KS)

キャプテンの勇姿


▼映画『キャプテン・フィリップス』を観た。2009年にアフリカへ救援物資を運ぶアメリカの貨

物船が、ソマリア沖で海賊に襲撃された事件を映画化した。フィリップス船長に扮したトム・ハンク

ス氏の迫真の演技に脱帽すると共に、船長がクルーをかばい、人質となる勇ましさに真のリーダー魂

を見た


▼この映画を観て連想したのが、銃撃戦となった01年の北朝鮮工作船と、衝突で緊迫した10年の尖閣

諸島の中国漁船だ。後者の事件では、乗船していた海上保安庁船員が生々しい衝突映像をネット上に

公開して物議を醸した。これは当時の政府が、隣国の脅威を執拗に隠ぺいしようとしたことに我慢な

らなかったからだ


▼安倍首相は昨年末、特定秘密保護法を強行成立させた。防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の

情報について漏洩を防ぐための法律である。いわば「スパイ防止法」だ。これまで日本には機密保護

のルールがなく?スパイ天国?と揶揄されることもあった。同法の制定で、日本は真の意味で国際社

会における国家となるのかもしれない


▼同法案をめぐっては、「知る権利の侵害」との反対デモが取り沙汰されていたが、筆者は、なぜそ

こまでして異を唱えるのか理解に苦しんだ。軍事を専攻する学生や軍事ジャーナリストなら分からな

くもないが、大半の国民には知る必要のないことも多い


▼安倍首相は新年、地元山口県で「国民の生命と財産、美しい海と領土、領空、日本人の誇りを断固

として守り抜く」と抱負を語った。日本の安全を守るためスパイ防止法を成立させた首相に、フィリッ

プス船長と同様の勇姿を見たのだが。(茨城・KS)


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