コラム

2014/02/01

地域疲弊の要因とは(長野・JI)

地域疲弊の要因とは


▼昨年末に国土強靭化法が成立し、いよいよ具体化に向け動き出した日本。老朽化したインフラの更

新など、公共事業の増加が期待される。古い橋梁やトンネルといった施設の劣化による損傷が利用者

に被害を与える可能性が大きいものは、一刻も早く対応すべきであろう


▼老朽インフラの代表とも言えるのが首都高速道路だ。総延長約300?のうち、3割が供用後40年

以上経過しているという。この首都高の更新を含め、2020年開催の東京オリンピックに向けて官

民発注の建設事業がどれだけ増えるのか注目である。オリンピックだけでなく震災復興もわが国の重

要なテーマであり、この2つのテーマに国が膨大な費用を投入するのも当然だ


▼こうした状況を理解しつつも、ある建設業団体の幹部は懸念する。事業が集中する東京と東北に物

資が流れ、「人も金も資材も重機も地元から消えるのではないか」と不安視している。さらには「リ

ニア中央新幹線も問題」と顔を曇らせる


▼リニアについてJR東海は、東京・品川〜名古屋間の27年度先行開業を目指しており、オリンピッ

クには間に合わない。しかし、仮にリニアをオリンピックの目玉に掲げて国費を大量投入し、一気に

整備を進めるとなれば、さらに地元の物資が減る可能性がある。それが団体幹部の不安だ


▼大型事業のある地域には物資が集中し、一方で大型事業がない地域は物資が入らずに出ていくばか

り。まさに地域疲弊の要因が他地域の事業という状況になりかねない。国土強靱化は、それを打開す

る救世主となり得るのか。今はまだ、そのスタートラインに立ったばかりだ。(長野・JI)


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