コラム

2014/02/04

家を建てるのも一苦労(茨城・NI)

家を建てるのも一苦労


▼家を新築するため、友人が相談に来た。今後のことを考え、友人は親との同居を希望。しかし、嫁

の立場としては「新婚生活を二人で楽しみたい」、同居による嫁姑関係の不安感などの理由から「スー

プの冷めない距離」を保ちたいというのが本音だ。奥様の親は「同居は当然」と思っているとつぶやく


▼このような世間話はよく聞く。もともと高度経済成長とともに核家族化が進み、1960年代後半

頃から国民的漫画のような爺さん、婆さん、婿、孫、タマが一つの家に住む伝統的な家族制度「一家

団欒」から、新しい家族形態として「二世帯住宅」などの家族を二分化する発想が生まれた


▼この頃から同居による嫁姑関係などの不和への対応として、世間では「スープの冷めない距離」の

居住形態が主流となった。筆者はそれとなく資金に余裕があるなら二世帯住宅をオススメすると無難

な回答で済ませた


▼次の課題は台所。以前読んだ書物に記載されていた「ダイニング・キッチン」の生みの親で女性建

築家第1号である浜口ミホ氏のことを思い出し、友人に話した。浜口氏は「男子厨房に入るべからず」

とするような住宅に内在する男尊女卑と向かい合い「男子キッチンに入るべからず」から、夫婦がコ

ミュニケーションを取りやすいキッチンを提案した。やはり建築の力はつくるに留まらず、変えると

ころにある


▼友人は家に戻って嫁と改めて話し合いたいと帰路に着いた。時代は移り変われど建設業の仕事は、

人々の生活を創造し、未来へとバトンをつなぐ職業であることに喜びを感じる。今後も、その家族の

笑みを楽しみにしている。(茨城・NI)


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