コラム

2014/02/06

インフラも芸術品(山梨・TT)

インフラも芸術品


▼刺繍といえば幼稚園児の名札や手提げ鞄などに名前やマークを糸で線状に刺していく程度の認識し

かなかった。しかし、訪問先の玄関に飾られてあったフランス刺繍の美しさに魅了された。額縁に入

れられてあったこともあり、絵画と見間違えたほどだ。刺繍と聞いた時には、その芸術性の高さに関

心するばかりだった


▼刺繍は、布地を補強するために世界各地で古くから伝えられ、使われている。日本でフランス刺繍

と呼ばれているものは、第1次世界大戦後にフランスから西洋風の刺繍が伝えられ、刺繍の中でもエ

レガントで絵画的なモチーフを指しているのが特徴だという


▼丹念な刺繍は、非常に手間がかかるためヨーロッパでは衰退し、代わりに各国の植民地へ広がり、

現在ではアジア各地でそれぞれ特徴のある刺繍が作られているそうだ


▼ところで、私たちが取材対象としているインフラ整備はどうだろう。ひとたび建設されると、50年、

100年と設置場所で利用され続け、利便性ばかりを追求されがちな道路や橋梁、公園、鉄道などの

公共土木施設。実は、土木施設も周囲の景観に配慮して、美しい光景を創出させるものとして整備さ

れている。例えば、橋梁一つが建設されることで、新しい眺望を生み出すことも期待される


▼日々、取材を続けていると費用対効果や強度、利便性などばかりに目を奪われがちだが、晴天の供

用式に見る、舗装されたばかりのキラキラ光るアスファルトの曲線美は、とても心を打つ。また、装

飾を排除し機能を追求した社会基盤整備においても、視点を変え改めて芸術品として見ることも必要

なのかもしれない。(山梨・TT)


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