コラム

2014/02/14

赤ちゃんポストの是非(埼玉・HK)

赤ちゃんポストの是非


▼1月に放送が開始された日本テレビのドラマ「明日、ママがいない」が、話題になっている。ドラ

マの舞台は、コガモの家という児童養護施設。児童虐待や家庭内暴力を連想させるシーンが多いこと

から、全国児童養護施設協議会など各方面から批判が集まっており、複数のスポンサーがCMを取り

やめる事態に発展した


▼特に、国内で唯一、赤ちゃんポストを設置している慈恵病院(熊本県)は「養護施設の子どもや職

員への誤解や偏見を与えかねない」「精神的な虐待、人権侵害になる」と痛烈に非難し、放送中止と

謝罪を求めている


▼一方で日本テレビは、内容に細心の注意を払っていくとの考えを示し、放送を継続する意向だ。ド

ラマの内容については、子どもたちの心根の純粋さや強さ、逞しさを全面に表し、子どもたちの視点

から愛情とは何かということを描写したい―としている


▼子どもへの暴力や虐待は、当然のことだがあってはならない。赤ちゃんポストの設置は、胎児の中

絶や出生児への暴虐を予防する役割を担っている。ドイツが先駆となっているものの、倫理上の問題

は解決しきっていない。このポストについて長期的な視点で見れば応急対応に過ぎず、本来であれば

行政による基盤の構築が先行されるべきである


▼慈恵病院へ赤ちゃんポストが設置された2007年、当時、安倍晋三首相は「親として責任をもっ

て産むことが大切」と発言。今日の日本は、全ての人がその責任を負えるだけの社会的な基盤が培わ

れていないのではないか。このドラマは、人権侵害を助長する毒となるか、現代社会に一石を投じる

薬となるか注目したい。(埼玉・HK)


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