コラム

2014/03/27

待っているのは誰か(長野・JI)

待っているのは誰か


▼混雑する時間帯を避けてファミリーレストランに入ると、席は空いているのに待合席に座らされた。

しばらくしてテーブルに案内され、注文内容を決めて店員呼び出しボタンを押す。しかし誰も来ない。

何度もボタンを押して店内にチャイム音を響かせると、ようやく「大変お待たせいたしました」と注

文を取りに来た


▼どうやらホール内の店員は男性一人しかいないようで、広い店内で案内、注文、片付け、会計を必

死にこなしている。彼の頑張りは素晴らしいが、結果としては客を過度に待たせる「最低の店」にな

る。人手不足が客を不快にさせている


▼建設業界の人手不足は、地域住民に多大なる影響を及ぼしてしまう。ある町では保育園建設工事の

遅れから、4月に予定していた開園を延期すると発表した。施工会社が鉄筋工や型枠工を計画通りに

確保できず、一カ月ほど遅延しているらしい。入園児も保護者も困惑しているだろう


▼業界の人手不足が今後も続くのならば、こうした事例は今後も全国各地で発生する可能性が高い。

公共事業の遅れは公共の不便につながる。もはや建設業界だけで対処する段階ではない。国や地方な

ど発注者側も含めて対策を練る必要がある


▼人手不足は建設業界の話だけではない。これまでの景気低迷でコスト削減を掲げる企業は数知れず。

どこも人件費を削るべく、採用を減らしている。このため職員一人ひとりの業務量は増えているのが

現状だ。冒頭のファミリーレストラン同様、我々はさまざまな場面で待つことが必要になるのかもし

れない。そして、我々は誰かを待たせているのかもしれない。(長野・JI)


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