コラム

2014/04/01

地域に眠る-文化遺産発掘(茨城・KM)

地域に眠る―文化遺産発掘


▼歴史的な建物や街並みは、地域の歴史と暮らしを今に伝え、個性ある街づくりや景観づくりにつな

げることができる「その町固有の大切な資産」である。しかし所有者や地域住民に歴史的価値は認識

されず、地域に埋もれているケースが多い


▼地域に眠る歴史文化遺産を発見し、修繕による保存や街づくりに活用するなど、地域づくりに貢献

するヘリテージ(文化財)マネージャーの存在は大切だ。茨城県建築士会は、東日本大震災を契機に、

建築士らが保全・活用手法を習得した「価値を見いだす目」を持つ専門家(歴史文化遺産保全活用推

進員)57人を輩出した


▼そこで選ばれたのが茨城県下妻市の市街地だ。2月に地元住民を交えたワークショップを開き、市

民と建築士会員が六芳園やビンフォルド邸、中嶋医院など市内にある歴史的建造物を見ながら街を探

索した。ワークショップに併せて、建物内部も一部公開された


▼中でもビンフォルド邸は、西洋建築で著名なW・M・ヴォーリズが設計を手掛けたとの説もあり、

参加した市民からは「こんな建物があるなんて知らなかった」などの声がささやかれた。見学後に

「歴史的建造物を活かした街づくり」の考えを、グループごとに発表し、市民による継続的な「歴史

的街づくり」の第一歩を踏み出した


▼ヘリテージマネージャー育成2期目の修了式で、茨城県建築士会の柴和伸会長は「来年度もこの事

業を実施したい」と意気込みを語った。専門家の「目」に期待するのは当然のことだが、これを機に

一般の方も、文化的な香りがする建物などを見つけたら、建築士会に一報してみてはいかがだろうか。

(茨城・KM)


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