コラム

2014/04/04

箸は食べない調味料(新潟・TH)

箸は食べない調味料


▼長年愛用していた箸がくたびれ、買い替えた。箸をじっくり眺め、手に持って、自分の手にフィッ

トするモノ、自分好みのデザインを探し出すのは、そう簡単ではない。身近なモノであるにもかかわ

らず、特に着目したことはなかったが、買い替えてみると、箸の奥深さをあらためて想い知らされた


▼箸が使いづらいと、せっかく美味しいものを頂いても箸に気をとられて、台無しになってしまうこ

とがある。とくに割り箸の割れ方がきれいに割れなかった時は妙に悔しい。割り箸は慎重に丁寧に割

らなければならない


▼日本人が愛してやまない割り箸は、リサイクル活動が旺盛だった江戸時代に生まれたとされている。

むしろ箸の誕生は時代の要請だったのかも知れない。不要な木を切り、割り箸にすることで森を再生

していた。間伐することで、葉に光が当たるように間引きされて、日光が降り注ぎ、健康な森へと生

まれ変わる。今の時代、リサイクルはどこでもあたり前に行われているが、江戸時代から様々なリサ

イクルの工夫が行われていたと思うと、先人のこうした歴史にただ頭が下がるばかりである


▼昔、誰かが「箸は食べない調味料」と言っていた。箸で食べる白いご飯に焼き魚、お味噌汁に玉子

焼きにお漬物などなど。箸が持つ独特の優しさが、食事をより美味しく引き立たせてくれているにち

がいない


▼昨年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録された。日本人が大切にしてきた食の文化。「美味し

い国ニッポン」の陰の立役者は箸と言っても過言ではないだろう。新年度に入った。身近にあるモノ

を再確認して見るよい機会かもしれない。(新潟・TH)


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