2014/04/24
人生を支える根っこ育てる(群馬・NA)
人生を支える根っこ育てる
▼「ひとつ、ふたつ……九つ」と「つ」で年齢を数える間に、躾 (しつけ)を通じて、人生を支え
る根っこを植え付けなければいけない、というのが大正生まれの祖母の口癖だった。物事の善悪や規
律を教えるのが大人の役目なのだと。近所の子どもでも分け隔てなく叱り、優しく声をかける人だっ
た
▼この春、長女が筆者の母校である小学校へ入学した。新入生は60名ほど。1クラス40名以上が肩を
並べ4クラスだった、我われ第二次ベビーブーム世代には信じられない少なさだった。驚いた。教室
に並ぶ机の数で少子化という現実を肌で感じた
▼教室の壁には、給食当番や清掃についてかなり細かな手順や注意が掲示してある。決まり事の多さ
にびっくりしていたら、「うちの子ばかりさせられているとか、教え方が悪いとか、クレームを言う
保護者がいるからですよ」と先輩ママが教えてくれた
▼「マニュアルがないと駄目」「状況に応じた判断が苦手」という若者が増えたのも納得できる。子
どもは親にとって宝物だが、社会にとっても至宝だとよく言われる。同時に子どもが親の鏡であるの
と同様、子どもは社会をしっかり映し出している
▼個人的には、祖母の時代のように、地域全体が子どもを気にかけ、手を貸し時に口を出してくれる
環境で子育てをしたい。周囲が見守り、理解してくれるという安心感が、少子化を食い止めるきっか
けになるかもしれない。近所の子供たちと関わる機会が今春から一層増える。地域の一員として親と
して、子どもに「つ」が付くうちに、人生を支える根っこを植え付け、愛情という水を注いでいけた
らと思う。(群馬・NA)