コラム

2014/05/31

夏休みの宿題にまつわる話(群馬・SS)

夏休みの宿題にまつわる話


▼小中学校で一緒だった同級生と久しぶりに会話する機会に恵まれた。今は互いに住む場所も離れ、

社会生活に追われ、ほとんど会う機会ない。話す内容は自身の近況など取るに足らないものばかりだっ

たが思い出話に花は咲いた。盛り上がったのは夏休みの宿題だった


▼彼は7月中に日記以外の宿題をすべて終わらせてしまう。几帳面・まじめを地で行くが、ユーモア

センスも持つ全校生徒の鑑と言えるような人物。一方の筆者はぎりぎりになるまでほとんど手つかず。

毎年8月31日は泣きながら机に向かった。思い出したくない嫌な想い出だ


▼期限内に終わらせたという点では両者ともに変わらない。それでも周囲からの評価は前者が圧倒的

に高い。登校日にはクラス中のヒーローだ。「みんなも見習って」と担任教師も手放しに称賛する。

後者は当たり前のことをしただけであり、通り一遍に誉められるのがせいぜいだ


▼ただ、建設業界に置き換えると少々事情は違ってくる。大手建設企業のホームページには、こぞっ

て工期短縮技術をアピールする文言が並ぶ。工期を短縮できればコストの縮減につながるのはもちろ

んのこと、完成した施設の供用開始時期も早めることができる。品質を落とすようなことがあっては

ならないが


▼当時の担任教師はこのことを教えたかったのだろう。冒頭の同級生は小学生時分にすでに早期に終

わらせる重要性を理解していたという。「何度も見直すことができたなあ」と振り返る彼の宿題に間

違いはほとんどなかった。常に余裕を持ち、充実した彼の姿を見るに、担任の教えは間違っていない

と感じさせられた。(群馬・SS)


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