2014/05/02
歴史を見つめ直すと(群馬・SS)
埋もれた歴史見つめ直すと
▼2014年度顕彰馬選定記者投票が先月行われ、エルコンドルパサーが栄えある殿堂入りを果たし
た。殿堂入りまで「あと一歩」という評価が毎年のように続いていたが、1999年の引退以来15年
越しの念願が叶った。当該馬亡き今、遅きに失した印象は否めないが、功績が見つめ直され関係者は
吉報に胸をなで下ろす思いだろう
▼今でこそ日本競馬のレベルが上がり、海外でも好成績を挙げる例が多くなったが、エルコンドルパ
サーはそのパイオニアと言っていい。世界最高峰のレース「凱旋門賞」では2着に惜敗したが、地元
フランス紙は「チャンピオンは2頭いた」と勝者同様に最大限の賛辞を贈った。野球界で例えると元
メジャーリーガーの野茂英雄投手のような存在だ
▼群馬県でもその功績が見つめ直されようとしている人物がいる。?楫取素彦(かとりもとひこ)?
は群馬県の初代県令。今で言う知事に当たる人物だが、群馬の郷土カルタ「上毛かるた」に掲載され
ている人物や歴史を発掘したり、草創期の群馬県政の礎を築いた功績は大きい
▼楫取は山口県で生まれ、吉田松陰と親交が深かった。在任中は、当時官営だった富岡製糸場の存続
を国に強く訴え、養蚕業の発展に尽力した。製糸場は6月の世界文化遺産登録が確実視されているが、
歴史をたどれば楫取に行き着く
▼エルコンドルパサーも楫取素彦も、誰かが歴史を見つめ直さなければ、もしかしたらそのまま深く
埋もれていっていたかもしれない。それらを理解するには歴史をひもとくのが一番の近道なのだろう。
来年のNHK大河ドラマは楫取の妻美和子が主役だ。放映が今から待ち遠しい。(群馬・SS)