コラム

2014/05/10

突入した人材確保競争

突入した人材確保競争


▼全日空、スターバックスコーヒー、ユニクロ。このところ、契約社員などを正社員化する経営判断

が話題になっている。人口減少と少子高齢化により生産年齢人口が減少局面を迎えているなか、人材

の確保や定着に向けて先手を打っていると言ってよい


▼国土交通省は今年、技術者や技能労働者の担い手不足問題への対策を立案するために建設産業活性

化会議を設置した。これから中間とりまとめに向けた検討が本格化するが、キーワードの一つに「社

会保険加入」が位置付けられる可能性が高い。直接雇用、正社員化と言い換えてもよい


▼社会保険未加入対策は、最重要の建設産業政策と位置付けられている。国交省の次官相当職の幹部

である佐々木基国土交通審議官は「単に個人の生涯を安定したものにするということだけでなく、重

層下請構造を変えていく可能性を秘めた政策だと考えている」と強調


▼建設産業は繁忙期と閑散期の差が大きいこともあり、慣行として直接雇用ではない一人親方が多数

存在してきた。重層下請構造にもなっている。これに対して国交省は今後、建設産業従事者の社会保

険加入徹底=正社員化を業行政として強く打ち出すだろう。直接雇用して多能工化などの社員教育を

充実させる。これこそが、他産業との人の取り合いに勝ち抜く必須の前提条件となる


▼発注行政サイドでは、CIM、ASP(情報共有システム)、情報化施工、建設ロボットなど、あ

らゆる関連技術を総動員して現場の生産性向上、効率化を図っていく。人手不足という根源的な課題、

危急存亡の秋という認識に立てば、発注行政も業行政もない。(東京・UT)


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