2014/05/30
激震から半世紀の教訓(新潟・KK)
激震から半世紀の教訓
▼首都直下型地震や南海トラフ地震の発生が懸念されるなか、今後も起こり得る大規模災害に備え、
被害を最小限に抑えるためには過去の教訓を学ぶことが大切だ。ただ避難時の行動、心構えなどを頭
では理解していても、いざ災害に遭遇した時に、どのような行動をとるべきか分からないのが正直な
ところだ
▼1964年に発生しマグニチュード7・5を記録した新潟地震から6月16日で半世紀を迎える。新
潟地震では構造物の倒壊・傾斜のほか、液状化や津波、原油タンクからの火災など都市災害の複合性
を典型的に示す被害が続出。とりわけ信濃川に架かる「昭和大橋」が落橋した当時の写真は地震の凄
まじさを今でも物語る
▼橋脚は2基埋没、12スパン中5スパンが落橋。原因は軟弱な砂層が液状化し、支持力を失ったため
だった。新潟地震以降、地盤の液状化対策の研究は急速に進み、橋梁耐震化の重要性が認識されるな
ど、耐震技術の向上には新潟地震の教訓が数多く生かされている
▼「災害は忘れないうちにやってくる」と言われるほど地震以外にも近年頻発するゲリラ豪雨や台風
など、毎年のように各地で災害が発生している。防災力の高いまちづくりの実現にはハード、ソフト
の両面対策が重要となり、日ごろの教育や訓練を通じて一人ひとりの防災意識を高めることが必要不
可欠だ
▼50年前に比べインフラは強固になった。ハザードマップが整備され、携帯端末で災害状況もリアル
タイムに把握できるようになったが、災害に対する恐怖心は変わることはない。悲劇を繰り返さない
ために、あらためて過去の教訓を学ぶ機会としたい。(新潟・KK)