コラム

2014/07/01

不安全行動による人災

不安全行動による人災


▼1987年、乗客459人を乗せてイギリスのドーバーへ向かっていた貨客フェリー「ヘラルド・

オブ・フリー・エンタープライズ」は、ゼーブルグ沖合で転覆し、193人が死亡するという事故を

起こした。理由は、自動車搬入用のカーゴドアの閉め忘れによる海水流入


▼常磐大学人間科学部心理学科の申紅仙准教授によれば、事故はTPO(時、場所、状況)に応じて

結果が違う。だがエラーの中身や種類は同じで「常習的な不安全行動」と「うっかりミス」が重なる

時に大事故が発生するという。赤信号を渡らないことを続けていれば、それだけ交通事故のリスクは

軽減できる。だが赤信号を常習的に渡っている人、スピード違反を常にしている人ほど事故が起きや

すい


▼建設現場では、ちょっとした間違いが命取りとなる。面倒くさいとの気持ちから安全帯をしていな

ければ、高所作業で命を落としかねない。しかしどんな作業場でも安全帯の着用を習慣付けしておけ

ば、いざという時に命を救ってくれるはずだ


▼航空や鉄道、原子炉などの高信頼性産業は、いったん何かが発生してしまうと大変な損害をもたら

す。そのため、失敗しない、失敗しても事故につながらないようにする、事故が発生しても最小限に

食い止める―の3段階の対策が講じられている


▼うっかりミスともとれるカーゴドアの閉め忘れは、実は常習的に行われていたらしい。すなわち、

いつ転覆事故が起きても不思議ではない「常習的な不安全行動」があったわけだ。今日から全国安全

週間。全国の団体や企業で安全衛生大会が開催される。3段階対策で安全チェックをお願いしたい。

(茨城・HN)


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