コラム

2014/07/03

タイトルより価値あるもの(山梨・MK

タイトルより

価値あるもの


▼佳境に入ったサッカーのワールドカップ・ブラジル大会。世界一のタイトルを目指し戦う選手や監

督を見ていて、思い出した監督がいる。スペインの名門クラブであるレアル・マドリードを率いるイ

タリア人、カルロ・アンチェロッティ氏だ。氏は今年5月、チームを10年ぶりのヨーロッパチャンピ

オンに導いた


▼アンチェロッティ監督のことは2年前の小欄で紹介したことがある。現役時代はイタリアのクラブ

で活躍。監督になってからもイタリアやイングランド、フランスのクラブでタイトルを獲得し、レア

ル・マドリードの監督に就任したのが昨年夏。そして就任1年目でチームを欧州一に導いた


▼氏は?穏健派?といわれる。試合や会見で激怒することはない。静かに選手の心をとらえ、結果を

残す。監督が、あるインタビューに答えていた。「私は、自分が現役だった頃を忘れないようにして

いる。だから選手が何を考えているか分かるんだ」と。選手の自主性を最大限に重んじ、監督と選手

の信頼関係を大事にする


▼その姿勢を新たなチームでも貫く。欧州一を決める決勝戦でも、優勝が決まった後は「主役は選手

たち」と静かにしていたアンチェロッティ監督。しかし、ヨーロッパでは珍しい監督の胴上げが始まっ

た。胴上げをしたのは、氏によって本来の力を発揮できた選手たちだった


▼その姿を見て、前述のインタビューで語っていたことを思い出した。「選手が『あの監督と出会え

て良かった』と言ってくれるのならば、それは、どんなタイトルよりも価値をもっているはず」。そ

んな監督だからこそ、タイトルを獲得できたのだろう。(山梨・MK)


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