コラム

2014/07/10

老朽化対策は総力戦(茨城・EM)

老朽化対策は総力戦


▼道路の維持修繕に関する省令・告示が7月1日に施行され、トンネルや橋梁などの道路構造物を5

年に1度点検することが義務付けられた。近接目視を基本とし、国が定めた統一的な基準を用いて実

施する。9人の尊い命が失われた笹子トンネルの天井板落下事故を教訓に、老朽化対策は新たなステー

ジに入った


▼高度成長期に集中的に整備された道路施設が、今後、急速に老朽化していく。すでに一部では変状

が顕在化しており、地方公共団体が管理する橋梁の通行規制は最近5年間で2倍以上に増加している

という。「造る」から「保つ」へ。数年来、公共事業費に占める維持管理予算の割合は増加傾向にあ

るが、これを機に一層顕著になるだろう


▼点検結果は4段階に区分。これに基づき、計画的に修繕を進めていく。道路管理者の責任のもと、

点検→診断→措置→記録というメンテナンスサイクルを確立し、待ったなしの課題に向き合う。一方、

市区町村では、予算はもちろん、職員の不足を懸念する声が多い。町の約5割、村の約7割で橋梁保

全業務に携わる土木技術者がいないという現実もある


▼サイクルを持続的に回す仕組みの一つとして、都道府県ごと、管内の高速道路、国・県・市町村道

の管理者で構成する「道路メンテナンス会議」が立ち上がっている。情報を共有し、技術面を含め協

力・連携していく


▼国や県、市町村らが一丸となり課題に対峙する体制が構築された意義は大きい。とりわけ町村にとっ

ては心強いことだろう。地域格差を生むことなく、安全な道を守ってほしい。道路同様、つながって

こその効果を期待したい。(茨城・EM)


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