コラム

2014/07/12

完成を望まない建物(埼玉・YW)

完成を望まない建物


▼15年ぶりにスペインのバルセロナを訪れた。ガウディの未完の傑作「サグラダファミリア」の進捗

を確認したくなったからだ


▼ガウディは自ら生きている間は完成しないことを分かっていながら、世紀の建築に生涯を費やした。

その生き方が好きだ。人とは、例えば、期ごとの目標達成、試験など目先の自らがその目で近く見ら

れる、分かる試練にはチャレンジするが、死後にしか評価が確定しないことには努力しない。ガウディ

の生き様を真似たいと思える


▼ガウディの没後100年後の2026年に完成すると先日報じられた。完成のイメージ動画は30

0万回再生されたそうだ。真ん中の塔が‘にょきっ’と高くスカイツリーのようになっている。建設

業界に携わる者にとって興味が沸き15年ぶりにこの目で確認した


▼進捗を遠目で眺めた。そして見上げ、イメージ動画のようになるのだと感じながら見た。しかし嬉

しさより、寂しさを感じた。やはりいつ完成するかは分からない、ガウディの未完の大作、ミステリ

アスな建物のままでいて欲しいと感じた。いつできるか分からない、ミステリアスで世界の技術を結

集した壮大なプロジェクトが進行のままであればいいのにーとひしひしと感じた。世界中でただ1人

のあまのじゃくであろうか


▼公共事業にしろ、大型ショッピングセンターにしろ、誰しも早く完成して出かけたいと思うもの。

さいたま新都心のまちびらきを誰よりも心待ちにしたので心は分かる。サグラダファミリアは10年後

完成する。ガウディが急速に一般の人になるようで寂しい。しかし完成後は足が向いてしまうのだろ

うか。(埼玉・YW)


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