コラム

2014/07/26

入札適正化法「負の遺産」(埼玉・YW)

入札適正化法「負の遺産」


▼2001年4月に施行した入札契約適正化法。当時、関東地方整備局担当記者として適正化法説明

会に参加した。時の説明者は建設技術調整官だった深澤さん。今の国交省道路局長、前関東地方整備

局長その人である


▼入札契約適正化法は、発注者の透明性と公開性を掲げ、当時発生した大臣と業界の癒着・不祥事を

機に一気に法制化が進んだ。当時の扇千景大臣のように業界との接点がなく、遠慮なく改革のできる

人でなければ成立しなかったであろう。入札の公開に遠慮気味の市町村に対しては、公開を促進させ、

社としても記者としても喜んだものだった


▼入札契約適正化法の効用は透明性と公開性が進んだことだ。しかし一方で公開に伴い、専門紙記者

の取材劣化をも、もたらした。入札契約適正化法が掲げる四半期ごとの発注見通し公表に、極度に依

存する体質が取材記者に染み付いたことだ


▼例えば、そろそろ公表になる時期だと、ホームページでアップされるのをジッーと待つ姿勢になる。

情報は人と人との会話から入手するという記者独自の足で稼ぐ方法をあきらめ、アップされたのをプ

リントアウトするという楽な方から取材にするようになった。受身の姿勢が身につき、記者でなくと

も入手できるインターネットからの情報入手が当たり前になりつつある。情報公開をベースに取材を

継続するなら記者の価値は下がる一方だろう


▼発表資料を手際よく書く習性に慣れ、足を運ばないがために特ダネも手にできない致命傷を生んだ。

もしかすると同法は記者を遠ざけるため、取材劣化を誘発する国の罠だったのか。(埼玉・YW)

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