コラム

2014/08/08

タイブレーク導入の是非(群馬・SS)

タイブレーク導入の是非


▼長い期間を掛けて築かれてきた慣習を変えるには大変なエネルギーを要する。多くの人たちが良き

慣習に守られている一方で、悪しき慣習を変えるために戦っている人もいる。だが、悪しき慣習もす

でに「伝統」という名で根付いている。それを改めるのは容易ではない


▼夏の全国高校野球選手権大会が明日から始まる。3年生にとっては負ければ終わる舞台で、観戦す

る側も一球の行方を見るだけで力が入る。ただ猛暑が続く近年ではその過密スケジュールの割り振り

が問題視されている。特に投手は3連投、4連投が課せられるケースもある。野球の本場、アメリカ

では到底考えられないことで、一部では児童虐待との指摘もある


▼そうした状況を考慮し、延長タイブレーク方式を導入しようとする動きが出てきた。日本高校野球

連盟が導入を視野に入れ、全加盟校にその是非を問うアンケートを行うという。手法の是非はともか

く、現状を改めなければいけないと認識していること自体は評価できる。しかし議論は賛否両論が巻

き起こりそうだ


▼指導する現場からは早くも「寂しい」「反対だ」などの意見が出されている。メジャーリーグで活

躍するダルビッシュ投手は「学年別で可能な投球回数を決めた方がいい」と別の角度からアプローチ

する


▼今回の高野連の提起を出発点に、建設的な議論が巻き起こればいいと思う。高校球児には今後も良

き慣習の恩恵にあずかり、悪しき慣習とも向き合いながら全力で戦ってもらい、今を生きる多くの人

たちにも理不尽な悪しき慣習に負けないよう、打ち破る気持ちで日々の生活を送ってもらいたい。

(群馬・SS)


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