コラム

2014/08/21

大切にしたい残すべき建物(茨城・KM)

大切にしたい残すべき建物


▼茨城県建築士会まちづくり委員会は、2007年度から、県内に残る「むかしの家」を再評価し、その魅力を伝える「体感ルート・ガイドマップ」を作成してきた。東日本大震災により一時中断したが、復旧が進みつつあることからプロジェクトを再開。シリーズ第4弾「水戸街道・筑波編」を本年3月に発刊した


▼今回はつくば市北条から土浦市、かすみがうら市、石岡市を巡るルートを設定。旧土浦中学校本館(現土浦一高)の解説では、設計者である駒杵勤治(こまぎね・ぎんじ)氏の経歴について触れ、同氏が旧太田中学校講堂などを手掛けたことを紹介。建物の説明だけでなく、見方の幅も広げてくれるガイドマップとなっている


▼水戸ユネスコ協会は、身近にある自然や文化を大切にしていく目的で「未来へひきつぐ地域のたからもの」事業を展開しており、その一環として「地域遺産絵はがき」を作成した。絵はがきには、茨城県建築士事務所協会会長を務める横須賀満夫氏によって、水戸気象台をはじめとする水戸市内の素晴らしい建築物が丁寧に描かれている


▼いま、全国的に公共施設の更新問題が大きな課題となっている。各自治体は、施設の将来的な維持管理負担を減らすため、再編成に向けたマネジメント方針などを策定するなど対応を急いでいる


▼もちろん不要な施設を保持する必要はない。しかしながら「後世に残すべき建物」と「残してはいけない負担」の見極めは重要だ。どうか簡単に旧施設を「不要なもの」と判断しないで頂きたい。建物には、設計士や技術者の汗や情熱、そして当時の技術がつぎ込まれているのだ。(茨城・KM)


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