コラム

2014/08/22

コウモリの突然の来訪(長野・HI)

コウモリの突然の来訪


▼「キャー」。蒸し暑い夏の夜更けに、ただならぬ妻の絶叫が家中に響き渡った。飛び起きた筆者が部屋を出る前に、寝室に入ってきた妻が素早く後ろ手で戸を閉め、「コウモリが家の中を飛んでいる」と恐怖におびえた声をふるわせた


▼地方都市の郊外にある拙宅は山や川に近いため、動物や昆虫の珍客が多い。庭に植えたモミジやモミの木、家を囲む生垣のカナメも20年の歳月とともに大きく育ち、野鳥が巣作りをしたり、トカゲやバッタなど小動物には持って来いの環境になっている


▼その中にはスズメバチやムカデといった招かざる客もあったが、コウモリが家の中に入ったのは、さすがに今回が初めて。寝室を出て電気をつけて見ると、カクカクと不規則に飛ぶ真っ黒なコウモリの姿があった。夜行性のコウモリを虫取り網で捕獲できる状況ではないと判断し、朝を待ったが、朝になると姿は消えていた。しかし、深夜0時を過ぎる頃に、また家の中に舞い込んだ。その恐怖が二夜続いた


▼公共事業の役割や必要性を説明する時に「安全・安心」の言葉を用いることが多いが、具体性に欠け理解しにくい面もある。この言葉を聞いて重要性を実感することができる人は、災害や事故を通じて身の危険を感じたことのある人だろう。語り手が体験者の場合も「安心・安全」の声は胸を打つ


▼3日目の朝、コウモリは衰弱した姿を現したところを捕獲。家に3日ぶりに安全・安心が訪れた。常に安全安心であるはずの自宅も、無防備でいれば恐怖の空間に変わることもある。何もなければ感じないが、何かあってからでは遅いのも安全・安心の特徴の一つだ。

(長野・HI)


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