コラム

2014/08/23

二者択一の難しさ(山梨・TH)

二者択一の難しさ


▼「二者択一」という四字熟語がある。二つの事柄の、どちらか一方を選ぶことだが、難しいことが多い。ただ、一旦どちらかに決めてしまうと、問題がこじれることもある


▼例えば富士山。山梨県と静岡県のどちらのものかという問題が再浮上した。県境が未画定な富士山頂の地図で、国土地理院や民間事業者が作成した地図に、「静岡県」と表記され、山梨県では作成元に訂正をもとめた。境界問題は、古くから両県がそれぞれ主張し、棚上げとなった。1951年には当時の両県知事が「境界を争わない」ことで一致した


▼その後に裁判も行われ、国側は、富士山は国民のものとし、公益上の必要性を主張したが、1、2審で全国の浅間大社の総本宮の富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)が勝訴。74年に最高裁で神社の所有権を認める判決が確定した。個人的には両県で争うことをせず、日本国民の宝とすることが一番良い


▼公共事業についても二者択一のニュース番組があった。いま本当に必要なのか、必要でないのか。道路整備のアンケートだが、道路整備の不十分な地域では当然必要で、十分な地域は必要でないと答える。国土交通省のインフラ長寿命化計画が策定されたことにより、今後は必要と答える人が増えてくるのだろう


▼富士山は誰のものなのか、公共事業は本当に必要なのかを、選択することは難しい。それぞれの立場や状況により異なる。仮に選択を迷った場合は「本当はどちらの言い分も正しい」からではないだろうか。ほとんど大差がないから迷ってしまう。時には白黒をはっきりつけない、あいまいさも大切なのかもしれない。(山梨・TH)

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