コラム

2014/08/28

必要なものは必要と提案を(埼玉・SW)

必要なものは必要と提案を


▼埼玉県川島町の新庁舎が着工した。構想段階から建設情報を伝えてきた者として、人件費の上昇や資材の高騰などの課題を乗り越え「無事に着工できて良かった」とほっとしている。現庁舎は耐震性不足、バリアフリーの一部不対応など町民サービスには支障がある


▼基本設計後、テレビ番組で一部住民による建設見直しを求める反対運動が流れた。現庁舎の約2倍の床面積や、総事業費約26億円の投資額は人口約2万2000人の町にはふさわしくないというのだ。この手の番組は、行政側を悪者に仕立て上げる方が視聴者受けが良いのだろうか。町では広報を通じて定期的に紹介していたし、検討委員会は検討内容をホームページで、役場は情報コーナーで内容を公開するなど情報提供に努めていたようだ


▼放送後、見直し派は建設に関する住民投票条例制定に向けて動き出したが、条例議案は町議会で否決。さらに、町長の解職請求を企てたが有権者の3分の1の署名数に至らず、もくろみは頓挫


▼新庁舎は、自然エネルギーの活用や建物の長寿命化を図り、中長期的な視点で見れば維持費も抑えられる計画だ。初期投資のみで考えるのは、木を見て森を見ずという気がする。見直し派が不要とする町民ラウンジや多目的室は、町民同士のふれあいを深めてもらう配慮も伺える


▼建設専門紙の記者とはいえ、一方的に建設推進ではなく、公正な複眼で見るよう心掛けている。東日本大震災を契機に、公共事業=悪というイメージが改善されつつあるように思う。必要なものは需要として、業界自身も提案していくことが大事なことではないだろうか。(埼玉・SW)

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