コラム

2014/09/09

官民の技術者不足対応は(茨城・HN)

官民の技術者不足対応は


▼入札不調がいまだに続いている。資材不足や急激な人件費の上昇が続き予定価格が実勢価格と合わないためだ。不調の要因は、技能労働者の確保など業界を取り巻く環境に問題があるとも言われている


▼ダンピングの横行や、下請業者へのしわ寄せ、現場の技能労働者の就労環境の悪化により離職の増大が見られる。建設業者は将来の経営計画を明確に立てづらい。そのため積極的な雇用、あるいは人材育成を継続的に行っていくことが困難となっている。雇われる側の若年労働者にとっては、賃金が安い、きつい、休みが取りづらいといった部分、あるいは公共事業の悪玉論が、意欲を削(そ)いでいる


▼一方、行政改革の一環で人員削減が進む役所。行政職員の有資格者(土木施工管理技士など)は激減し、一人当たりに担当させる工事件数が増加している。茨城県では震災復旧による工事量の増加が担当職員に負荷をかけていると聞く


▼一人で多くの工事を抱えれば当然、工事の進捗は遅れがちになる。ましてや若手職員に持たせることが多いことから、意思決定に迷うケースも多発。そのため工期の延長に陥り、企業へのしわ寄せが増大している。官民で、いずれも技術者が足りない状況にある


▼まずは行政が資格者を増やさなければならないのではないか―。綱紀粛正や市民オンブズマンの声を気にせず「工事が遅れてしまうので人員が必要」といった理路整然とした説明をしていただきたい。行政内におけるプロ技術集団の増員が、円滑施工の明暗を分けるといっても過言ではない。その意思決定を行うのは、当然のことながら行政トップである。(茨城・HN)


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