コラム

2014/09/11

地上から電柱が消える日(茨城・HS)

地上から電柱が消える日


▼2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定以来、多彩なプロジェクトがスタートしている。会場となる施設の整備はもちろんのこと、波及効果を狙って合宿誘致に動き出している地方自治体も多いと聞く


▼茨城県では、前年の19年に国体が開催される。整備した施設がそのまま使えるのは大きな利点だ。まだ先の話にも思えるが、関係者は今から入念な下準備をしているのだろう


▼オリンピックを契機に、電柱をなくして景観を良くする計画が検討されている。7月には民間人でつくる「無電柱化民間プロジェクト」が発足した。そのホームページでは葛飾北斎の富嶽(ふが)三十六景「赤富士」のイラストに電線・電柱を重ね、いかに景観を損ねているかを訴えている


▼総務省の調べによると、都内には約111万本もの電柱があるという。国内全体では約3500万本で、毎年7万本ペースで増え続けているそうだ。これらをすべて地中化するとなると一体どれほどの年月と費用が必要になるのか…想像するだけで少々怖い。ただ、電柱が倒れて緊急車両の通行ができなくなったという東日本大震災の教訓もあるだけに、可能であるならば無電柱化は極力進めるべきではないだろうか


▼電気のない時代、地上には電線も電柱もなかった。電柱は科学技術の進歩が生み出した。そうであるならば、電柱が再び地上から消える日もきっといつかは来るはず。すでに海外の主要都市では無電柱化が積極的に進められている。おもてなしの国を自負するなら街の景観にも気を配る必要がある。景観後進国と揶揄(やゆ)されるのは決して気持の良いことではない。(茨城・HS)


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