コラム

2014/09/27

励みと重圧は表裏一体(山梨・HK)

励みと重圧は表裏一体


▼登山を趣味とされている方ならご存知のことかと思う。深田久弥氏が山岳随筆「日本百名山」を著して今年で50年を迎える。品格、歴史、個性の3点を基準に選ばれた山の頂は、山登りファンのひとつの指標となっている


▼北アルプスの玄関口に住まう私の住環境は、都会の山好きの方々の目にはうらやましく映ることであろう。早起きし、頂上を極め、その日のうちに自宅のベッドで寝ることも可能ではある。にもかかわらず、これまでその頂を踏んだのは100のうちわずか2座に過ぎない


▼それほど胸を張れるような山歴を持ち合わせてはいないが、ひとつの挑戦に胸を熱くしている。プロアドベンチャーレーサーである田中陽希氏による「日本百名山ひと筆書き」がそれだ。7カ月を要して南端に位置する宮之浦岳(鹿児島)から利尻岳(北海道)まで日本を縦断、全長7800㎞を人力だけで踏破する試みだ。その挑戦の様子は随時ウエブで公開されているほか、NHKBSでも放送されている


▼くしくも黒部湖横断の際にカヤック(カヌー)を使用することができず、渡し船に乗船してしまったが、彼の挑戦に心を打たれ、直接励まそうと頂上で待っている人も多いようだ。ホームページでは彼の日記も掲載されており、日ごと注目が高まることを実感するとともにそれに対する戸惑いを吐露し、見ず知らずの人々の応援が励みとなると同時にプレッシャーとなる心境もつづられている


▼はるか南からスタートした彼の挑戦も終盤に差し掛かっている。のしかかる重圧と惜しみない声援は表裏一体。振り返ればまったく違った景色が見えるはずだ。(山梨・HK)


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