コラム

2014/10/04

ブレンダーに託された命運(新潟・KK)

ブレンダーに託された命運


▼世界が着目したイギリスからの独立を巡るスコットランドの住民投票は独立反対票が過半数を獲得。イギリスの分裂は回避された。通貨などの問題もさることながら、あのお酒の行く末を気にしていた人も多かったのではなかろうか


▼スコットランドといえばスコッチ・ウイスキー。スコッチを愛する者の一人としてスコットランドが独立した場合、これまで以上に高い関税が課されることを心配していたが、急激な高騰はなさそうだと聞き、ひとまず胸を撫で下ろした


▼近年のウイスキーブームの牽引役は大麦麦芽を原料に単一の蒸留所で作られたモルトウイスキーを瓶詰したシングルモルトウイスキー。個性あふれる多種類のシングルモルトに、トウモロコシと大麦麦芽を原料とするグレーンウイスキーをブレンドして作るのが「ブレンデッドウイスキー」で、世界で最も流通している


▼「ブレンデッドウイスキー」は性質が異なるウイスキー同士を混ぜ合わせ、両者の欠点を補いつつ互いの長所を引き出している点が特徴で、絶妙なバランスを取りながら芳醇な味わいを生み出している。ウイスキーのブレンドは専門家であるブレンダーの手腕に負うところが大きく、職人技によって個性が強いもの同士の共演を成り立たせる


▼スコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国から成るイギリスだが、今回の住民投票では独立を巡り賛成派と反対派が激しく対立した結果、未だに火種はくすぶっており、今後は各国が持つ個性を新たな調合で組み合わせ、一体化させる必要がある。大国の命運を握るブレンダーの手腕が注目される。(新潟・KK)


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