コラム

2014/10/09

公共建築の新たな形(水戸・EM)

公共建築の新たな形


▼新潟県長岡市にある複合交流施設「長岡市シティホールプラザ アオーレ長岡」。ことし7月、日本建設業連合会が国内の優良な建築物を表彰するBCS賞を受賞。これに先立ち日本建築学会賞と日本都市計画学会賞にも輝いており、その造りとともに、施設を生かしたまちの交流拠点の創出という点でも国内を代表する公共建築の一つだ


▼JR長岡駅とスカイデッキで直結する市の中心市街地に、市役所、アリーナ、屋根付き広場などを集積。「まちの“中土間(ナカドマ)”」をコンセプトに掲げ、その使用方法に制限を設けていないことも特徴だ


▼建物の中央には、一つの空間でありつつ開放感あふれる屋根付き広場(ナカドマ)を配置。天候を問わず、誰もが気軽に立ち寄り、活動できる空間を創出した。複数あるホールを含めて、営利目的でなければ無料で使用できる


▼一際目を引く壁や天井に張り巡らされた木製パネルの市松模様は、行政と市民の活動の交ざり合いをイメージ。市議会の議場をナカドマに面した1階に配置していることも、開かれた行政、協働のまちを印象付ける


▼自治体の顔であり、シンボルである役所庁舎。建て替えに際し、市民が参画しながら計画を練り上げるケースも多い。地方の疲弊が問題となっている昨今、まちの活性化という視点を盛り込むことは不可欠であろう。2012年4月、落成イベントで森民夫市長は「この空間を、市民が楽しみながら自由な発想で使いこなしていくことによって、アオーレ長岡は限りなく成長していく」と宣言した。市民が誇り親しめる役所は、地方創生の鍵かもしれない。(茨城・EM)


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