コラム

2014/10/10

記者活動にひそむ罠(埼玉・YW)

記者活動にひそむ罠


▼10月15日から新聞週間が始まる。専門紙として一記者として記者活動の足元を見つめ直す週間としたい


▼記者が注意すべきは、なぜその資料を提供してくれるのか、誰が得するのかを吟味しなくてはいけないことだ。今年も新聞協会長賞を獲得した朝日新聞で、公共工事未消化の見出しが先日おどった。未消化が多いのは人手不足が理由で、消化できない公共事業の予算はどうなのかといった内容だった


▼問題なのは「未消化とは人手不足で施工ができないのではなく、手持ち工事を確保して手が回らないこと」を理解していないことだ。さらに悪いことに、ネタ元の財務省にたきつけられてこと。財務省は人や社員の減少に合わせた公共事業量で良いとする、いわば「公共事業減らし」の考えを発信し続けている


▼同じ報道する身として、記事の情報源について、結局だれが何の意図でどう得するのかを深く考える習性がついている。それを情報源どおりに書くと、罠に陥ることがある。むろん記者としてスクープしたい気持ちは分かるが、社会正義と固定観念を持たずに取材をしないといけない。産経新聞記者だった作家の故司馬遼太郎氏は功名を求めず、ただ記者をすべしといった主旨を述べていた


▼記者とは何か、自分なりに追求するのは「自分でなければ世に出ないことをあぶり出したい」「賛否両論でも問題提起したい」というテーマを「探り書き」することではないか。各社で社是や行動規範はあるにせよ、一記者としては正義感と知りたい問題意識を改めて追求すること、情報源のネタは何を意味するか新聞週間を前に、自ら肝に銘じなければ。(埼玉・YW)


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