コラム

2014/11/07

適正工期こそ休暇促す近道(埼玉・HK)

適正工期こそ休暇促す近道


▼内閣府が働き方や休み方の見直しを行うために「休み方改革ワーキンググループ」なるものを設置した。ワーク・ライフ・バランスの推進、生産性の向上、地域活性化に向けた課題、具体的な方策などを検討しているという。関連して、厚生労働省でも有給休暇消化の義務化などを見直しするとの報道が見受けられた


▼積極的な休暇の確保を促す理由として、仕事の生産性や創造性向上のためとする意見もある。一方で、工期という契約上のノルマが課せられる建設業の場合、長時間労働になりがちで、長期休暇どころか「土日もまともに休めない」という声は多い


▼このような現実の中で、社員に十分な休暇を与えるような法律が先走って施行されたらどうなるのか。これまでと同様の工期を設定された上に、社員の休暇により労働力を削がれることにでもなれば、社員は残業が増えるか、企業は社員を増やす必要が生じるのではなかろうか


▼昨今、アベノミクスによる好景気の気配が垣間見えたものの、中小企業には、さほど恩恵は感じられない。さらに、特需の到来が予想される「2020年東京オリンピック」等が終われば、景気はあっという間に過ぎ去ってしまうことだろう。今でも残業が続く中で、休暇を増加すれば、人員を増やすことになり、結局は企業の疲弊につながり兼ねない


▼建設業においてワーク・ライフ・バランスを推進する最善策は、法整備を待つのではなく、各自治体や発注者が「適正な工期」を設定する体質づくりこそ先行して進め、企業が矛盾なく社員に休暇を促すことのできる労働環境を実現することに尽きるのではないか。(埼玉・HK)


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