コラム

2014/11/15

地元に根ざす建設業(新潟・YY)

地元に根ざす建設業


▼日ごとに秋が深まり、木枯らし1号の話題が聞かれる。新潟県では、関東地方よりも一足早い冬の準備に取り掛かる時期だ。暖房の試運転、冬用タイヤの付け替え、消雪パイプの点検も始まった


▼知り合いの工務店が、冬を前に吹き抜け階段等を塞ぐ工事を年に数件引き受けるという。夢のマイホームを吹き抜けにしたものの、冬の寒さに耐えかね、開口部を閉じて欲しいといった依頼である。ノウハウと施工実績を持った業者であれば良い提案を行うところもあるようだが、雪国で吹き抜けの間取りを入れるには、覚悟がいるらしい


▼また、九州の会社による設計で自宅を建てた知人は、雪が降ると困ることがあると話す。屋根から滑った雪が隣家の敷地に落ち迷惑をかけているとのこと。それを設計者に伝えても自然現象なので仕方がないのよと緊張感のない返答。雨なら許されるが、自家の敷地に降った雪を自らが始末することが当たり前の雪国では許容できない問題だ


▼さて、公共施設の設計競技で公開ヒアリングを傍聴する機会に何度か立ち会った。大規模施設であれば県外のコンサルタントが参加することもあり、審査で雪への対策や考え方を問う場面がよく見られる。現地の状況をよく調べている者もあれば、うまくいくだろうかと疑問が残る提案も見受けられる


▼素晴らしい技術を持つ建設業者は全国各地にいるだろう。しかし、より地域の実情や特性を踏まえた設計・施工を行えるのは地域に密着した業者に限る。建設業の後継者不足が叫ばれる中、地元業者の育成・支援は地域の暮らしそのものを快適にするためでもあるのだ。(新潟・YY)


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