コラム

2014/11/18

歴史はつくられるものか(埼玉・OA)

歴史はつくられるものか


▼佳境を迎えたNHKの大河ドラマ・軍師黒田官兵衛。大河に限らず戦国時代を題材にした歴史もので、信長、秀吉、家康の3人は欠かせない存在だが、どうしても「たぬき」の異名をとる家康は好きになれない


▼日本史の歴代人物で織田信長と坂本竜馬が人気の両巨頭といわれヒット作品を生むが、家康は人気でも2人に肩を並べない。信長時代は良き同盟者、秀吉時代は従の立場。主導権を握り始めた秀吉末期は五大老筆頭となり、前田利家の没後は秀吉との誓約を反故(ほご)にするなど本性をむき出しに


▼誉高い待遇を受けた嫡男信康、正室築山殿を信長に自害させられても、家康は耐えた。だが、明智光秀による本能寺の変では、大坂から引馬城(浜松)に戻り、織田領の甲斐と信濃へ侵攻し、火事場泥棒的行動で掠め取った。信長が居なくなっても織田家や重臣達は残っている。戦国の世とはいえ弱味に付け込むのはうまい。信長の後継者を決める清洲会議などでも、織田家側から家康批判が出ていないのもおかしな話だ


▼関が原前夜に行った前田家、上杉家への工作やたくらみが、汚名を着ると、いとわないのだろうか。だが、政権を獲った後は豹変する。二条城での豊臣秀頼との会見などでは、さすがに豊臣家を滅ぼすことには抵抗があったようだ。主殺しの汚名は着たくなかったのか


▼HistoryはHis storyといわれ、勝者の歴史を指すらしい。勝利者が政権奪取後、前の歴史を塗り替える意味で使われるが、東照大権現にまで祭り上げられた家康。徳川家に都合の悪い歴史は、書き換えられているのであろう。断片からだけで実像を知ることはできない。(埼玉・OA)


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