コラム

2014/12/26

法律はカメレオン(埼玉・YW)

カメレオンに見える法律


▼誰の言葉だったか忘れたが、世の中で最も醜いのが「人の心」で、最も素晴らしいのも「人の心」だそうだ。同時に最も分かりづらいのも「人の心」ではないか。時として人の心は移ろい易く変わり易い。同じ事象でも、ともすれば10人いると10通りの考え方が出る


▼法律の条文は、人によって何通りも解釈できてしまう。法律の成立には社会通念や常識が根底にあり、通達で具体化させる。ときに最高裁判例などにより時代に合わせて補足するのが一般的だ。昨今、改正品質確保法の運用骨子案について様々な意見や考えが施行前から出ている。それは予期していたことだが、文言に対して読む人、見る人によってどのようにでも解釈されうることだった


▼歩切り規定を見ると、「不当に」「適切に積算」「合理的な」などといった言葉が並び、国が自治体に、事あるごとに説明している。「合理的な理由なく」「不当に」設計価格から差し引いて予定価格を作成してはいけないという風に説明する。見方を変えると不当と言われない範囲なら良い、正当な理由があれば良いと屁理屈に聞こえるが、すでに解釈は一人歩きしている


▼さらに「地域の実情に即した」という記載もある。この文言によって、地方自治体は「安心した」「言質をとった」と半ば手ごたえを感じている。要は、入札とは地方の1つの委任事務であり、裁量決定権者の首長の考え方が地域の実情として成り立つということだ


▼法律や施行令、指針は人によってカメレオンのごとく光の角度、見る角度でどのようにでも見える。統一した角度と色に見える法律改正を早期に望みたい。(埼玉・YW)


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