コラム

2015/01/14

心がけで駄目を良しに(山梨・HK)

心がけで駄目を良しに


▼名前の由来、言葉の語源を探ることは目から鱗の連続である。その一方で、新たに生まれ人々に親しまれる言葉もある。その年の世相を彩る「新語・流行語大賞」がそれで、昨年は“集団的自衛権”と“ダメよ~ダメダメ”が選ばれた


▼この“ダメ”。由来は囲碁の用語だという。白と黒の石を交互に置いていく陣取りゲーム。終局を迎えると石を打っても意味の無い場所、打つ価値のない場所が生まれ、それが“駄目”とされている。「へえそうなの」とうなずくばかりである


▼地名の場合は由来に重要な意味が含まれている。土地独特の要素が名前に刻み込まれ、災害の歴史もそこに映し出される。例えば過去に水害を経験した土地は地名に“灘”“沢”“深”“竜”の文字が含まれるという。水に係わりのある漢字が当てはまるのは理解できるが、なかには“牛”も水害経験地とされるようだ


▼何故とその理由を探ると、元は古語の「憂シ」という不安定な土地を意味する音に“牛”の文字が当てられたため。『地名は災害を警告する―由来を知り わが身を守る』(遠藤宏之著)によると、古い口承地名を考えるときには、漢字ではなく音がポイント。伝承されてきた古語が土地の“なり”を的確に表現しているからと記している


▼同書には、災害地名リストがこれほどまでと思うほど掲載されている。さながら日本列島を碁盤とするならば、白黒の碁石が災害地のように盤上を埋めていき、日本の地に安全な場所などないように感じられる。囲碁の場合は“駄目”となるが、災害地に囲まれた生活の場を日ごろの心がけで“良し”に変えていきたいものだ。(山梨・HK)


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