コラム

2015/02/06

地図に載らない仕事(東京・KK)

地図に載らない仕事


▼建設業を含む、あらゆる業界で次世代を担う人材の確保が大きな課題になっている。各業界の発展には人材こそが必要不可欠であり、人材確保競争が激化している


▼建設業への若者入職者を増やそうと「地図に残る仕事」として建設業の仕事のやりがいをアピールする取組みが進んでいる。新潟県の泉田裕彦知事は「地図に残る仕事をするという意欲、自分が行っている仕事の意義を感じてもらえるような形での定着が進むような支援を実施したい」と建設業への入職促進と早期離職防止を図る考えを示す


▼公共施設や民間建築施設、道路や橋梁、トンネルなどの大規模な土木施設は実際に地図に残る。規模が大きければ大きいほど、地図に残る可能性が高く、それ故に仕事にやりがいを感じ、誇りに思えるのは事実だろう。だが公共事業は地図に残る仕事だけではない。下水道や水道管の敷設などは、その代表例で、縁の下の力持ちとして我々の目に見えないところで安全・安心な暮らしを支えている。が、一般的な地図には残らない


▼公共事業の多くは必ずしも若者が憧れるような仕事ばかりではなく、誰もが注目するようなビッグプロジェクトはごくわずかだ。むしろ今後は老朽化したインフラの補修など維持管理の需要が大幅に増加していく


▼かつての「公共事業悪玉論」で批判の矛先が向かったのは地図に残るような事業。しかし地図には載らないが住民生活に必要不可欠なインフラは全国各地で行われている。地図に載らない事業への正しい理解をより広めることが公共事業に対する見方を変え、若者の入職促進にもつながるのではないか。(東京・KK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら