コラム

2015/02/07

人と道路は変化する(長野・JI)

人と道路は変化する


▼あめ市、松本ぼんぼん、市民祭。長野県松本市で開かれる大きなイベントやパレードなどの際、中心市街地は車両通行止めとなり、歩行者天国に姿を変える。ふだんは車が多い一帯だが、この時ばかりは人で埋め尽くされる。集まった人々は、道路を縦横無尽に歩き回りイベントを満喫している


▼道路の役割は、A地点からB地点をつなぐ交通により、人や文化、物資の交流を行うことにある。しかし人々が集う広場として活躍する時もあるということだ。おそらくは人間が初めて道を造った時から、あるいは道らしき存在を利用している頃から続いているのだろう


▼国土交通省発表の『道路行政の簡単解説』を読むと、道路は交通や空間の機能以外に「国土を支える」「新たなライフスタイルへの対応」「地域・都市づくりの基盤」など役割が増大しているという。資料を見ると、自転車や車の走行空間、地下のライフライン、祭りの場、道の駅、ITS(高度道路交通システム)など多様な役割を持つことが理解できる


▼道路だけでなく、何事にも多面性はある。たとえば『家』は風雨から人体を守るだけでなく、家族の団らんの場となる。『学校』は勉学とともに一生続くかもしれない友人関係を育む環境となる。『仕事』は難題に悩むものの、成長につながる。『病気』は心も体も苦しめるが、一方で「生」を考える機会となり、より良く生きようという気持ちになる


▼様々な役割を担う道路を活用して、人間は新たな文化を生む。そして新たな文化は、さらに新たな道路の役割を生む。人と道路は連鎖しつつ、絶えず変化を続けている。(長野・JI)

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