コラム

2015/02/20

市の思惑と住民投票(東京・YK)

市の思惑と住民投票


▼この時期、各自治体から2015年度予算案の発表が、たけなわとなる。埼玉県所沢市では今後の予算編成に関わる「防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的な実施に関する住民投票」が今月15日に行われ話題となった。航空自衛隊入間基地があることから、市内の近隣小中学校舎は防音のために、防衛省の国庫補助対象になっている


▼今回の投票は校舎に市の財政でエアコンを設置すべきかどうかを問うもの。エアコン設置は、当初全29校を対象に行う計画だった。しかし現職の藤本正人市長は、工事に掛かる費用などから設置計画の中止を表明。これに対し保護者からは「夏場のエアコンのない環境で生徒らの学習する権利を妨げてはならない」と反対。住民投票条例を直接請求し投票開催の運びとなった


▼藤本市長は、通勤時の駅に出向き演説。市の歳入がここ数年減り続けている点をあげた上で、夏休み期間を考え稼働時間を見れば、エアコンの設置は必要では無い。むしろ子供たちの身体の成長を考えた場合に不要であるし、その費用を老朽化した下水道管工事などに充てるべきだと主張


▼投票は即日開票され賛成5万6、921票。反対3万47票で、大きく差が開いた。しかし投票率は31・54%にとどまり、市条例の「多数票が投票資格者の3分の1以上」の条件を満たさなかった。市内の各駅には投票を告知する垂れ幕を掲げるなどして投票参加を促したが、効果はなかった


▼高齢・少子化が進む中、福祉に予算を投じるべきとの声も当然聞こえる。もちろん中長期的なインフラ整備なども控えており、市の今後の対応が注目される。(東京・YK)


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