コラム

2015/02/27

伝えるべきことを伝える (埼玉YW)

伝えるべきことを伝える


▼新聞記者の1人として、後藤健二さんの1件以来、考えさせられることが多い。とくに「伝えなくてはいけないことを伝える」という使命感に気づかされた


▼田原総一郎氏司会のあるテレビ番組で、日本は企業所属の記者が先に来て、ジャーナリスト個人が認められにくく、湾岸戦争の時は世界で最初に撤退して笑われたという。韓国の女性記者金栄美さんは最後まで残り、拘束されても伝えることの大事さを直訴し、釈放まで勝ち取った


▼日本の記者の場合は、企業の社員のため、サラリーマン記者といわれて久しい。真実を伝える重要性は、現地でしっかり取材して初めて成り立つ。湾岸戦争の時、西側記者として最後まで残ったジョン・シンプソン氏はクウェートへのイラク侵攻は、クウェートのサアド皇太子のフセインの母への侮辱が原因だとしている


▼侵攻のきっかけとなったその件は、一切報道されていない。真実を多面的な角度から捉えることこそジャーナリストと言える。憲法22条で国民同様に記者活動は「報道、取材、移動の自由」として保証されている。しかし、新潟県の戦場カメラマン杉本祐一さんは旅券の返納か渡航拒否かの選択を迫られ、旅券を警察にとられている。危険地帯への取材をさせないためというのがその理由だ


▼米国のケリー国務長官は「世界に伝えることが大事。リスクはつきもの。リスクがあるからと言って何も伝えないと独裁者と圧政者を喜ばすだけ」と語っている。建設専門紙も同じ。業者や役所のクレームを気にする者は記者ではなかろう。真実と疑問を多面的に捉え、伝え、読者を幸福にする責務がある。(埼玉YW)


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