コラム

2015/03/25

信頼揺るがす2つの事件(群馬・SS)

信頼揺るがす2つの事件


▼2月中旬。群馬県警渋川署庁舎の落成式を取材した。新築のにおいが何とも言えない。法に反しない限りお世話になることはない留置施設も見学させていただいた。「お前はいつ入るんだ?」。同行者にからかわれ、思わず苦笑いを浮かべた


▼それから6日後。渋川署管轄区域内で衝撃的な逮捕劇が2件も立て続けに起こった。一つは管内に勤務する警察官による女児誘拐未遂事件。もう一つは副市長と電気工事業者による官製談合防止法違反事件。共通するのは職務上知り得た情報を悪用したことだ


▼警察官は被害女児宅周辺のパトロールを行っていた。女児の父親が交通事故に遭ったように装って声をかけたという。地域に寄り添う警察官が、その地域で卑劣な罪を犯す。警察官とは何なのか。存在意義が問われかねない。女児が機転を利かせて未遂で終わったことは不幸中の幸いだった


▼副市長は入札審査会の委員長という立場を悪用した。事後公表の最低制限価格を事前に業者へ漏らし、工事落札に便宜を図った。事件は官製談合にとどまらず、別の工事の加重収賄容疑にも発展した。業界が懸命に取り組むイメージアップ策に水を差す、許されない行為だ


▼警察官と建設業。その職務を説明するとき「安全安心を守る」という言葉がよく用いられる。その通り、私たちの生活を支える誇り高い職業だ。特に建設業は先の大震災や大雪で活躍。「カッコイイ」との声も上がった。だが、良い出来事はすぐに忘れられ、悪い出来事は印象に残りがちだ。一度失った信頼を取り戻すには計り知れない努力を要する。今回の事件によるイメージ悪化を心配している。(群馬・SS)


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