コラム

2015/04/01

厳しい工程の裏側で(群馬・MY)

厳しい工程の裏側で


▼経済成長率が7%台まで減速した中国だが、まだまだ高層ビルの建設ラッシュは続く。2014年は世界で高さ200mを超えるビルが97棟建設されたが、このうち58棟が中国で建てられている


▼つい3~4年前、「中国、地上30階の高層ビルを15日間で完成」というニュースが話題になったが、今度は19日間で57階のビルを建てたというから驚きだ。かの国の成長速度を象徴すかのような驚異的なスピードである。建設時のコマ送り映像を見ると、昼夜問わず、資材が運び込まれクレーンが動き、多くの作業員が働いている様子が分かる


▼一方、イギリスの新聞報道によれば、湖南省の高層ビル建設現場で、男性作業員が20m下の床に落ちて、負傷したまま動けず、6日後に犬を散歩中の市民によって発見されたという。同僚たちは無断欠勤だと思っていたらしいが、どうにか一命を取り留めた男性は、もう建設業には戻りたくないと話したという


▼群馬県内で取材したある市民施設の竣工式典で、市議会議員が施工者に対し「完成が遅れたら罰金だという話もあった」と冗談を飛ばす光景があった。この年度末に、工事現場で休日返上で作業する人たちをよく見かけた。目の前にある厳しい工程をクリアするため、仕事に全力を傾注しなければならない現実がある


▼中国のような危険な現場は日本ではないだろうが、休暇を取らずに働く建設業の人たちにも家族がいることを思えば、これは政治が解決すべき問題だろう。4月の統一地方選で「われわれと業界はパートナー」と主張する候補者たちには、ぜひ休暇の取れる現場の実現を訴えて頂きたい。(群馬・MY)


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