コラム

2015/04/03

片務性が魅力を削ぐ(埼玉・YW)

片務性が魅力を削ぐまいか


▼さまざまな団体や協会が担い手の育成と確保を目指し、熱心にアピール計画を策定して就業を働きかけている。官民一体で担い手を育てようと、同じ着地点で動くことは喜ばしいことだ。しかし、担い手を失望させ、建設業界を落胆に走らせたのは、発注者である官側でもあった


▼業界はこれまでに、なんど理不尽な契約に泣かされてきたことか、また、請負業の建設会社はいくど都合の良いように利用されてきたことか。こうした片務性を長年見ていると嫌気が差し、早々と見切りをつけたくもなる。これまで主張してこなかった業界が本気になって決断し、全国の喝采を浴びた事例を紹介したい


▼2007年9月16日付の西日本新聞に「大分県建設業協会佐伯支部 入札への要望拒否に対抗 市との災害協定破棄」の見出しが踊った。記事の内容は、高落札率入札調査制度の撤廃など4項目を要望した建設業協会支部が、「撤廃について判断するのは尚早」として変更を拒否された佐伯市長に、支部側が「誠意が見られず、失望の念に耐えられない」として災害協定の破棄に踏み切ったのだ


▼しかし、国と県との災害協定は続けるとした。主義主張を正面から断行した、面目躍如は魅力と自信をなくした業界の若手に勇気と希望を与えたのではないか。建設業界の魅力は「休日や賃金」といった物欲主義だけではない


▼社会や発注者に尊敬と感謝の声、契約の双務性、主義主張の言える平等な体質になってこそ若手は業界に未来と魅力を感じ踏みとどまるのではないか。契約の片務性と請け負けでは担い手は育たないことを発注者は理解すべきだ。(埼玉・YW)


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