コラム

2015/04/14

請け負わないという選択(東京・YO)

請け負わないという選択


▼「受注側が圧倒的に弱い立場かと言うと、そうでもない。現在は、請け負わないという選択肢がある」。話してくれたのは地場ゼネコン営業マン。受注者にとって悲願とも言える『請け負け』からの脱却。発注者との片務契約改善を促すためにも、声なき声を紹介したい


▼ケース1・土砂運搬一つ取っても細心の注意を払う。「仕様書にある土砂の量はうのみにしない。押し固められた状態か否かで運搬に必要なトラック台数は大きく異なる。請け負ってから気が付いても、質問が無かったの一言で片づけられてしまう」。ケース2・請負内容以外の経費は持ち出し。「道路整備関連で負担された業務。予定調査地点の使用許可や用地交渉がなされていない場合が大部分。交渉等を受注者が行っても、経費や作業工数の負担は設計書のどこにも計上されていない」


▼ケース3・発注側の設計仕様では現実的に施工不可能な場合も。「水上仮設。当初は単管足場での設計。安全性と効率を考え施工計画書により桟橋形式を提案。打合せ協議簿を交わし、承認後に実施したにも関わらず精算時の変更は認めてもらえない」


▼一方、行政も手をこまねいている訳ではない。国土交通省が3月30日付で通知・運用開始した土木設計業務等変更ガイドラインは、同業務などの変更を適切に行うための解説書だそうだ。変更に至る、至らないケースの明確化は片務契約解消の第一歩と期待がかかる


▼請け負わない、という選択は当然、受注者の本意ではない。続けて営業マン「発注者を困らせたい訳ではない。むしろその逆」。適正な契約履行こそ、双方の願いに他ならない。(東京・YO)


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