コラム

2015/05/01

危機管理と地方創生(東京・UT)

危機管理と地方創生


▼安倍首相は石川県小松市の建機メーカー、小松製作所(コマツ)を4月11日に訪れた。同社は一部本社機能を地方移転した先駆けとして、地方移転モデルに取り上げられるケースも多い。2002年、東京本社機能の調達本部を、主力工場がある小松市に移した


▼同市は創業の地でもある。その後、11年には人材育成機能も同市の総合研修施設に移転している。これまで東京で行われていた意思決定が地方で行われるようになったという。当然地元採用も行っている


▼アクサ生命保険は14年11月に札幌本社を設立し、現在、東京本社との2本社体制をとっている。東日本大震災の経験を踏まえたもので、事業継続体制の強化が目的だ。社員は東京から70人程度が異動しており、現地採用と外部委託を含めると総勢500人規模になっている


▼保険金の支払機能をはじめ、新契約、保険料の収納、資金決済、総務など本社機能の一部を移管した。災害時などは東京の本社機能を代替できるようにしてあるという。同社が13年11月に公表した札幌本社設立のニュースリリースには、北海道知事と札幌市長からの歓迎コメントも掲載されていた


▼本社、または一部本社機能を東京から地方に移転することは、首都直下地震など大災害を見据えた場合、危機管理上の重要な一手段になるだろう。経営戦略の一環とも言えるのではないか。先進事例を参考に、前向きに検討する企業が増えてほしい。日本海側や西日本などを視野に入れて、選択肢、検討材料は複数あることだろう。地方のどこであっても、移転は地方の雇用創出や税収増加、ひいては「地方創生」に連動する。(東京・UT)


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